五 の 座 敷



(二)



 その男、名は助之(すけゆき)。
 近くの数珠問屋の二代目で、やせぎすではあったが色男である。
 しかし助之。女を抱くことこのできぬ体であった。
 理由は判らぬ。高名な医師に相談もしてみ、高価な薬も飲んでは見たが依然として効果がでな
かった。
 そしていつの頃からか、男としての機能は無くとも女を鳴かせることに興味を持ってしまった。
 女のしたたる露をむさぼり、胎内に異物を入れては喜ぶ。
 一風変わった性癖の持ち主ではあったが、女郎を危険な目に合わせる訳でもなく、いやがれば無
理は通さず、いたって品の良い客の一人であった。
 しかも金離れも良く、顔の良いのもちとせ屋の女郎にはうけていた。

 かくて助之はなじみの女郎、ふみの胎内にさまざまな大きさの数珠を入れては楽しんでいた。

 「―――ふみのココはなんでも入りますねえ。どうでしょう。一番大きな珠を入れてみたいと思いま
せんか」
 「ん……」
ふみは半分ほど意識が遠のいていた。
 すでに助之の言うがままであった。だから拒絶することなどできる訳もなく、だらしなく開いた蜜壷から
たらたらと露を垂らすのであった。
 「ふふん。ぱっくり開いた穴が物欲しそうにしていますよ。どれ、どれ……」
助之は今さっき引き抜いた珠を順番にねぶると、ふみの股間を覗き込んだ。
 花びらは真っ赤に充血しており、花びらに隠れているはずの小さな芽もぷっくりと姿を現していた。
 助之は蜜壷に人差し指を差し込んでくいっとねじってみた。
 「ぁんっ……」
 「ほぅ」
今度は中指を入れてひねってみた。
 「はぁっ……」
 「ふむ」
続いては薬指。
 「ひぃぃっ」
おふみはのけぞった。
 「はて……」
さらに小指。
 「んはぁぁぁぁ……」
とたんにふみは体を断続的にひくつかせ、気をやった。
 しかも助之の顔めがけて潮を吹いた。
 「―――おおっ」
びくんびくんとはじける様にひきつるふみの体を布団に押し付け、助之は自分の顔にかかったさらりと
した液体をぺろりと舐めた。
 「ふふふふふ。こりゃ楽しい。おふみ、気持ちが良いようですね」
 「はぁ、はぁ、はぁ……」
息をするのもやっとというふみはがくがくとうなずいた。
 「どれ、どれ。ではこの一番大きな珠を入れてみましょうかね」
そう言う助之の手には、一寸の珠がついた数珠があった。長さは五寸程であろうか。
 ほのかな行灯の明かりとふみの露を受け、きらきらと妖しく輝いていた。
 「いきますよ」
助之はゆっくりとふみの胎内に珠を沈めていった。
 「んくっ……。んぁっ……。ひんっ……」
珠が一つ飲み込まれるたびに、ふみの体はぴくんと反応する。
 それが面白いらしく、助之は目をこらしてふみの蜜壷を見つめた。
 「ほれ、ほれ……。まだまだ入りそうですねぇ」
つぷつぷと小さな音をたてて飲み込まれる珠は、すでに三寸程胎内に収まっていた。
 「―――だ、旦那様……。く、苦しい……」
 「いやいや、おふみ。まだまだ入りそうですよ。だって、ほら。お前の露が尻まで垂れているじゃありま
せんか」
 「も、もう……」
 「ふふふ。じゃあ一度抜いてみましょうかねぇ」
助之はにやりと笑みを浮かべると、手の中にある珠をいきなり引き抜いた。
 「ひぃぃぃぃぃぃ……」
一寸の珠が三寸の長さに渡り、ふみの胎内に飲み込まれていた。それを一気に引き抜いたとたん、
ふみはまたもや叫び声とともに気をやった。
 「面白い、面白い。こりゃ面白いですよ、おふみ。私ゃ、この遊びが気に入りましたよ」
 「だ、旦那様……」
ふみの目には涙がたっぷりとたまっていた。
 「おや、おふみ。泣いているのかい。そんなに辛かったのかい」
とたんに助之はふみの体を抱き起こし、優しく抱きしめた。
 「ごめんよ、ごめん。そんなに辛かったのかい」
 「―――いえ、旦那様。ふみは辛くはありません。かえって……その……」
 「気持ちが良かったかい」
 「は、はい……」
恥ずかしそうにうつむくふみを見て助之はほっとした。

 ここで女を泣かせると、ちとせ屋には遊びに来れなくなってしまうのだから。

 「じゃあ、おふみ。いいんだね。私がまたこの遊びをしてもお前はいいんだね」
 「―――はい」
 「そりゃよかった。私ゃおふみの体が一番好きなのさ。おふみじゃないと楽しくないのさね」
 「おありがとうございます」
 「いやいやいや。おふみ、今日のところはこのへんでやめておこうかね」
 「いいのですか」
 「いいよ、いいよ。また今度の楽しみができたからね。おふみ、酒を用意しとくれよ」
 「はい、旦那様」
まだ完全に力の入りきらぬ体を起こし、ふみはじゅばんをまとうと座敷を出て行った。

 そして残された助之の顔には、今までとは違う種類の笑みが浮かんでいた。

 「―――まだまだ楽しめそうですねぇ……」


 ぽつりつぶやく助之の言葉の意味はまだ不明。







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