風  鈴



(二)



 「―――清一郎、これをやろう」
連釈は懐から丁寧に何かを包んだふくさを取り出した。


 ここは清一郎の座敷。
 他の女郎と同じ様に四畳半と六畳ほどの二間。奥の六畳には床がのべてある。
 しかし連釈は火鉢の前で清一郎の股間に手をのばしながら、ほんの少し上気して
いる情夫の顔を見た。
 「これは」
 「あけてみろ」
清一郎は連釈の指の動きに合わせて、ぴくりぴくりと反応する体を重たそうにして連
釈の手から包みを受け取った。
 「………」
 「どうだ、きれいじゃろうて」
清一郎の手の中には、ぎやまんでできた風鈴が一つ。
 「お上の御用で手に入れた。唐の国のものじゃ」
 「これをわたくしに」
 「そうじゃ。他に誰にやろうて。―――今度わしがくるまでの間、その音を聞きながら
待て。わしを思うて待て」
 「あい」
清一郎は立ち上がると、軒下にぶら下げた。

 ちりん、ちりん。と、涼しげな音を立てて、唐のぎやまんは清一郎の心をなごませて
くれた。

 見たこともない花の絵。
 見たこともない色。
 見たこともない形。

 清一郎の心は女の様にときめいていた。
 きれいな物を見ると、心がなごむ。
 きれいな音を聞くと、心が洗われる。
 それはこの宿での、決してきれいではない生活からの逃避なのかもしれない。
 『汚らわしい』と思ったことはなかった。清一郎には、この様なことをしなければ生きて
いけなかったから。しかし、『清らか』だとも思えなかった。
 なぜなら……。

 連釈との逢瀬の後も、他の男に抱かれるのだから。


 「―――そんなに気に入ったか」
 「あい」
連釈は清一郎の隣りに並んで立つと、風鈴を見上げた。
 「それはよかった」
連釈の手は、清一郎の着物の裾からそろりと滑り込んだ。
 「―――ん……」
そのまましっとりとしめった谷間に指をはわすと、やわやわと清一郎のモノを包み込ん
だ。
 「んぁ……」
しばらくすると清一郎のひざはがくがくとふるえ始め、しまいには立っていられなくなっ
た。
 「どれ」
連釈はしゃがみこんだ清一郎の尻をめくると、つるりとした割れ目を覗き込んだ。
 「よしよし、きれいだきれいだ。やはりいらぬ毛は剃った方がよいわ」
にたにたと不気味な笑顔を絶やさぬ連釈の指は、いつの間にか清一郎の着物を剥ぎ、
自分の着物も脱ぎ捨て、一心不乱に清一郎の菊門をもんでいた。
 「―――んはっ……。っふぅ……」
清一郎の息は荒くなり、それと同時に連釈の指の動きは早くなる。激しくなる。
 「どれどれどれ」
 「あふっ……」
すでに畳の床にうつぶせに沈みこんだ清一郎の背後から、歳の割には充分な硬さを
持った連釈自身が貫いた。
 「あぃぃぃぃぃ……」
清一郎は細い叫び声を上げ、それでもつるりと連釈を飲み込んだ。
 しわはのびきり、くすんだ桃色のそこは連釈が押せば沈み込み、引けばめくりあがっ
た。
 「おうおう、相変わらず良い声で鳴くのぅ」
 「はぅぅぅぅ」
連釈は前に腕をのばし、清一郎のモノをつかんだ。
 「んふっ……」
ソレはぬるぬるとした露をしたたらせ、中途半端に立ち上がっていた。
 「ふむ。あまり良くないとみえる」
連釈はそうつぶやくと、いきなり激しく動き出した。
 「んはっ。―――ひんっ……、んぁぁぁぁ」
連釈のものを飲み込んではいたが、それほど潤ってはいない清一郎の菊門はすさまじ
勢いでかきまわされた。
 「どうじゃ、どうじゃ、どうじゃの」
息も絶え絶えの連釈は、清一郎の耳元で何度も何度も繰り返した。
 「どうじゃ、清一郎。どうじゃ」
 「ひぃぃぃぃ……。ご、ご主人様、ご主人様、―――ご主人さまぁ……」
すでに清一郎の限界がきていた。
 何度も、ここぞという敏感な部分をこすられ、突かれ、清一郎自身からは絶えることなく
露が流れ出ていた。
 「わしは、わしは……」
 「ご、ごしゅじんさ、まぁぁぁ……」
 「―――せ、清一郎、わしは、わしは……」
 「っん、はぁぁぁぁん……」
びくんと波打つ清一郎の腰をつかみ、連釈は最後の力を振り絞り自分の腰を打ちつけた。
 体中の穴という穴から、とろとろと露と汁をしたたらせ、清一郎は畳に突っ伏した。


 清一郎は連釈から、熱い精が体の奥底に注ぎ込まれるのを感じた。







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