二 の 座 敷



(四)



 「―――ありがとうございます。これでちとせ屋も、今まで以上にお客様に楽しんで
いただけることでしょう」
ちとせはにっこりと微笑むと、ちくりとぐいのみを傾けているコールに言った。
 「いやいやおかみ。私は自分の好きなようにゆきさんを抱いただけだ。私の国では
肛交がごく普通に行われているものでね」
 「こちらではコール様の様な異国のお客様も多いものでして、多様な注文に応えられ
る女郎が一人でも多く必要ですから」
 「して、ゆきさんは」
 「今頃は別のお客様のお世話をしていることでしょう」
 「そりゃ残念だ。最後にもう一度ゆきさんを抱きたかったのだが」
 「またの機会になさいませ。その頃にはゆきはもっとお好みの女郎になっているはず
ですから」
ちとせは長火鉢にひじをつき、大儀そうにきせるをくわえていた。
 一方コールは赤い顔をして、尚も酒を傾けていた。
 しばし沈黙が続いた後、ふいにコールが口を開いた。
 「おかみ、女郎屋には身請けという制度があるそうで。―――その…、ゆきさんはいか
ほどでお譲りいただけるのかな」
何とコールは、ゆきを自分だけの物にしようとちとせに問いかけた。
 さすがのちとせも一瞬時が止まったかの様だったが、突如くすくすと笑い出した。
 「いやですよ、コール様。そんな冗談をおっしゃっちゃ」
 「冗談ではない。本気だが」
コールはぐいのみを置くと、真っ直ぐな視線でちとせを見た。
 「旦那、確かに身請けというお約束がございます。それは女郎を表の世界に出す手立
てでございますがね、それは無理でしょう」
 「なぜ無理と言う」
 「旦那……。女郎を身請けするには大金が必要でございます。それも半端な額じゃご
ざいません。きっとコール様には難しい金額でございます」
 「いかほどですかな」
 「聞かない方がよろしいかと」
ちとせはかつんと音をさせ、きせるを火鉢に打ち付けた。
 コールの視線はちとせに向かったままだったが、ちとせの視線はコールを付き抜け、
はるか遠くを見ていた。
 「もし……」
 「うん」
ちとせは言葉を続けた。
 「もしコール様がこちらでお暮らしになるのでしたら、ゆきをお譲りすることも考えても
よござんす。ですが、コール様は自分のお国に戻られます。ということは、ゆきも連れて
お帰りになるおつもりでしょうか」
 「いかにも、そのつもりでおりますよ」
 「でしたらおやめ下さい」
 「してその理由は」
 「ゆきは異国の言葉は話せません。生活の方法が違いすぎます」
 「それは私がいるではないか」
 「夜伽のときだけ、ですかね」
ちとせはかんざしをくいと挿しなおすとコールの視線に、しっかりと自分の視線をからま
せた。
 「あたしゃこの女郎屋のおかみでございます。大事に育ててきた女郎を死に出すことは
できません」
 「………」
 「いくらお金を積まれても、ゆきをこの港から出すことは許しません。もしどうしても、と
おっしゃるならば、あなた様がこちらの国で暮らして下さいまし」
 ちとせは少々きつく感じる視線をコールにぶつけた。もはやからませる程度の視線では
なく、完全に威圧する視線であった。
 コールはふいと顔をそむけると、またぐいのみに手を出した。
 「―――ご家老から、ちとせ屋の主人は一筋縄ではいかんと聞いていたが……」
 「どう思われました」
 「その通りだろうね」
コールはふっと顔の筋肉を緩めると、ちとせに酒を勧めた。
 ちとせはてもとのぐいのみを差し出し、コールの酌を受けた。
 またも沈黙が続いたが、先ほどの様な緊張感は無かった。
 ほどなくコールは立ち上がり、座敷のふすまに手をかけた。
 「また来てもいいかね」
 「もちろんでございます。ちとせ屋はごひいきになったお客様は拒みませぬ」
 「では、またの機会に」
 「お待ち申し上げます」
ちとせは座りなおし、深々と頭を下げるとコールを送った。



 「―――与助さん、与助さん。ほれ、ゆきはこっちの穴の方が好きなんです。指を入れ
て下さいまし。もっともっとかき回して下さいまし……」
 ゆきはふんどし一つの与助に尻を向けていた。四つんばいになり、自分で尻を押し広げ、
くすんだ桃色のすぼまりに与助の指を招いていた。
 「ほう……。ここかな」
 「んふっ……。あん……」
 「一本では足りぬか」
 「足りませぬ、足りませぬ。―――二本、いえ、三本でも入りますゆえ」
 「どれ」
与助はゆきの露に指をひたし、面白そうに菊門に指を差し込み始めた。
 「―――ひぃ……。もっと…、もっと奥まで……」
 「まだ足りんのか。どれどれ……」
ぴくぴくとひくつき、妖しい香りのする蜜を垂れ流している花びらの奥の泉に口を付け、
与助はゆきの胎内に差し込んでいる指をくねらせた。
 「んぁ……。はんっ……」
 「ゆきの体は面白いのぅ。体中の穴が男を誘っておる。ここも……」
与助は蜜壷に舌を差し込んだ。
 「ひぃぃ……」
 「ここも……」
与助は指を四本に増やし、ぐるりと中をかき混ぜた。
 「んはぁ……。よ、与助さまぁ……」
 「まだまだ楽しめるのぅ。ゆき、ゆき……お前はかわいいのぅ……」
 「ひんっ。―――い、いぃぃぃぃぃっ………」



ゆきは苦しそうに小さく叫ぶと、生温かな小便をふとんに撒き散らした……。





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